好きなひとが出来たら、きっとしたいと思っていたことは幾つもあった。
手を繋ぐこと 抱きしめてもらうこと 名前で呼んでもらうこと。
挙げたみっつの、私としては、どれも難しいことだとは思ってなかった。
映画ならエンドロールまでに、ドラマでも、最終回までに出てくることばかりだし。



それなのに、ねぇ柊。



好きなひとは出来たのに、そのうちどれもがまだなのは、
私がダメだったのか、あなたがダメだったのか、せめてそれくらい教えて欲しく、
短冊にはひとことだけ書いた。



『最終回じゃありませんように。』



泣きそうになりながら筆を洗ってたら、もっと書き方あったかもって思って後悔した。
ならばどう書けばいいの?って自問して、出た答えは、


「会いたいなら、会いたいって書かないと。」


っていう、ことだ。
私がどんな最終回を望んでいるか、なんて


神様は知らないかも知れない。


ずるいけど、もう1枚書こうかな。
それとも、七夕はきっと晴れますように、の方が良かったかな。
神様が、私の望む最終回を叶えてくれなくても、
颯爽と晴れて、あまのがわが夜空に溢れたならば、


私がそれを渡って、あなたに会いに行けるかもしれない。
あわよくば、あなたがそれを渡って、私に会いに来てくれたなら



一話打ちきりだって、全くもって、構わない。



けれど、それから私が出来たことは、
まるで新品と紛うほど、白くなるまで洗った筆を
ひとりでいるには広すぎる、絢爛な部屋の一角、中でも空が一番丸く見える窓枠に、
そっと立てかけて祈ることだけ。



短冊に書けなかったぶんは、神様じゃなくてあなたが聞いて。



柊、あなたに、帰って欲しいの。




− 最終ルネサンス −






千尋が王位について、およそ三月が過ぎた。
王になってから、一度も柊に会っていない。
てがかりは、まだない。


柊を好き、と思ってから、初めての七月なのであった。
最初から好きだったなら二回目のはずで、もしもそうならば、いまひとりでないのかも知れない、
そんな不毛なことを考える。


「好き。」


今頃言っても遅いのに。
込み上げそうで、ぐすん、と鼻をすする。
例えばもっと惚れっぽかったなら。
不意打ちみたいな小指のキスで、手のひらを引っ込めたりしなかった。



『約束の儀式、なのでしょう?』



誰から聞いたの?なんでそれを、知っているの?と、
あのとき何故、それより先に、
なんでこんなことをするの?と、そればかり。
恥ずかしかったのだろうか、腹立たしかったのだろうか、とにかく拒む方を、こころは選んでしまった。


「まぁ仕方ないんじゃない、あれは。」
「とは言うけど。」
「だってほぼ初対面だろ、普通引くよ。」
「……そうなの。だけど。」


那岐が部屋に来ていた。
巧みな装飾に目を奪われる色ガラスに、透明の冷たい水がはいったのを、窓辺で並んで飲んでいた。
目を少し上げた先、短冊が一枚、ひらひら揺れるのを、頼りない気持ちで見ている。
喉が渇いたのは自分、と彼は言ったが、ついでに千尋のぶんも持って来てくれるあたり、
なかなか優しいとこもある。


「那岐は何を願うの?」
「今年はわりと壮大。」
「わ、珍しい。」


那岐は着慣れない衣装、ごそごそとやって、一枚のいろがみを取り出した。
千尋もそういった紙に書いて吊るしたのだが、
紙とは貴重なもので、このように色素で染めて梳き上げてあるものなど、王族くらいにしか使えない。


千尋が覗き込む前に、
那岐はひょ、と背伸びて、それを笹の一枝にくくり付けた。
そして、満足げな顔をしてみせる。


「これが僕の願い。」


そこには、『王座』と紙いっぱいの墨書きで書かれていた。
千尋はあんぐり驚く。
冬休みの宿題などで、那岐の書き初めはかれこれ五回ほど見たことがあるが、
これほど豪快な、はらったぶぶんが擦り切れるほどの筆跡は初めて見たのである。


「な、なんなのこれ!」
「志は高く、ってね。」
「王は私のおしごとで、」
「悪いけど、狙ってるんだ。いいだろ別に、勝手に願うくらい。それに―――」


那岐は青いグラスを飲み干して、次の言葉から小声にした。
そうすれば千尋が注意して耳を傾けることを知っている。


「王座くれたら、僕の持ってる情報を、千尋にうっかり滑らしてやってもいい。」
「じょ、うほう。」
「柊について。」


千尋の口が、さらにまるくひらいた。
あまり驚くと、ひとは言葉を出せなくなるものらしい。


「アイツがどこ行ったのか、本当にもう会えないのか。どう?悪くないんじゃない?」
「な、な、なんてきたないやり方!」


千尋はまっすぐである。
特に柔らかい性格でないのは自他ともに認める所であるが、それにしても納得がいかなかった。
心は大変動く、それは本当だ。だが、王座というのはお菓子のように簡単に、ひとにあげていいものではないのだ。


「やっぱりな。二つ返事って訳には行かないか。」
「……。」
「じゃ、帰って来たら返す。それならいい?」
「……七夕の日だけ?」
「だけとは限らないな。千尋はせいぜい最終回にならないように頑張んなよ。」
「―――。」


『最終回じゃありませんように。』
『王座』


二枚の短冊は、七月の風にくるくるまわる。
何かが渇いてゆくような気がして、
あかいグラスを飲み干すと、迷いは飛んでしまった。


「柊は、何処へ行ったの?」


きっぱりと、前を向いて尋ねた。答えを聞いた瞬間に、王座が那岐の手に渡る。
何を言われても、ビックリなんかしないと決めていた。
どこへ追い掛けることになっても、怖がったりしないと決めていた。
那岐が、王座を盾に取って言うことだ。簡単な行く先でないことは、何となくわかる。


「僕としても、数少ない非体育会系が抜けてつまらないんだ。絶対アイツ連れて帰ってくること。」
「わかった。」
「七夕、晴れるように祈ってる。」
「私も。」


そう、こんなふうに、迷いなく、好きになれば良かったと、何度も後悔したのではないか。
ひとつ前の七夕の日、深夜零時に本当に架かった、星の橋をいざ渡る、
そのとき、左の手は私に、と言って伸ばしてくれた腕はしなやかだった。
何故あれほど迷い、ましてや恐れたのか。
青龍の指輪が左の薬指に嵌ったときに、ふと真顔になった気がした柊を、



何故、見ないフリしたのか。



だから帰り道も、柊がどこをあるいていたのかわからない。
前にいなかったから後ろだったのだろうと思うけれど、
千尋の見えないところで柊が、どんな顔をしていたのか、返す返す、ひとつも知らない。


好きなひとが出来たら、きっとしたいと思っていたことは3つ。
手を繋ぐことも、ましてや抱きしめてもらうなんて、名前で呼んでもらうなんて、
夢のなかで数えていたって叶うはずがなかったのだ。



あなたでなくて、やっぱり私がダメだったんだ―――



走りやすい服に着替えて、少し伸びた髪を結い、パタパタと王宮を抜けてゆく千尋の、
後ろ姿を見送るのは、やはり葦原家の保護者×2であった。


「へぇ、那岐も演技派だったんだ。上手くいったね。」
「勘弁してよ、何が王座だ。」
「ハハ、ごめん。でも、効いたでしょ?」
「まーね。」


那岐はこのとき、内心、あんた何者なんだ、という感想を風早に対して抱いていた。
千尋の願いを叶えたい、と、それは那岐とて理解しない訳でない、
が、実際聞いたことは想像を絶する、まるでお伽噺だったのである。
そんなことならあんたのほうが得意そうだ、と言ったのだが、


「うーん、俺がしてはだめなんです。何かと不公平になっちゃうので。」


というような答えが帰って来ただけだった。
ひとが、ひととして出来る最善を尽くすほうが、ロマンがあるでしょ、らしい。
なにやら意味深げではないか。



―――だからして些か不安なのである。



風早が出来ることは終わり、那岐に出来ることもこれで全てだ。
あとは、千尋が、柊が、あまのがわを信じるか、祈ることはそれだけである。




◇◇◇




――――柊。



ふと目を開けて、首をもたげてみた。
自分を呼ぶ声がした、と思った方向があったからである。



が、そこにはただ雷鳴。



通る者があるはずがない、結界の中だ。
立っているのは柊ひとり、時折鼻筋に舞い降りるのは風花と紛う、いや、真実、花であった。


「花が呼ぶとは、酔狂にも程がある。」


感受性に乏しい、とは柊が自らを評して言うことである。
心はとうに、凍らせた、とも言う。
が、こと今、幾たびを経てもこの瞬間だけは、心を収縮させることもある。
またあのひとを置きざりに、私は来てしまった、
などと都合良く、求められてもいないことはただ忘れようとする。


ひとの心は随分と、都合のいいように出来ている。


柊は、胸にしまった幾つかの宝珠を、衣服の上から握り込む。
あのひと―――我が君を、守る、さまざまの色の珠だ。
未だ目にしたことのない地の白虎の宝珠は、どこで育っているのだろうか、


いつもここでそればかり、思う。



―――ひいらぎ。



今度は想うひとの声になって呼ばれたが、


(このようなことは、起こるはずがない。)


少なくともいまここで起こるとは、どこにも記されていない。
が。


戯れにでも振り向けば、始まるのだろうかと、信じてみたい声である。
一歩、踏み出せるのかも知れないと、好奇心に似た気持ちがある。


「柊!」
「――――っ。」


何より抗えぬのは、既定伝承ではなかった。
彼女が捜して、みつけて、呼ぶ声に、予定もなく振り向いてしまう。
真実から外れてゆくのを、止めることができないで、



ただただ弾ける笑顔にくらむ。



怪訝な顔で迎えられるのに慣れ切ってしまっていて、
突然親愛深くされたことで逆に身構えた。
なんとはなしに、常の彼女の気持ちが解った気がした。
いつもそうであるように、傘を持っている。が、このたびは二本でなく一本である。


(全くもって、伝承にない未来だ。)


だから余計に、自衛の言葉が突いて出た。


「麗しき方、どこかでお会いしましたか。」
「会ったの!知らない?葦原千尋!」
「はて、その名の方はたくさんおられましたので、私の知るあなたであれば良いのですが。」


けだし明言、そのように自負したが、彼女はそれを切って捨てる。


「ばかを言っていてはあふれてしまうわ。」
「………は?」
「渡るの!」


言うが早いか、千尋は柊の手首を引いて、くるりと回れ右した。
かくんと視界が一段下がり、柊は思考を保てない。
その方向が耳成山、つまり、比良坂に続くことだけが予感めいており、
そして、それが現実になり行く実感だけがある。


「我が君!」


千尋はかなり足が速かったらしく、少女にしてはなかなかである。
体育会系でない柊が、しかも、まなこ白黒している状態では、
差を詰めて、隣へ並ぶにはやや苦労があったが、それでも何とか捉える。


「はやくはやく!渡れなくなる!」
「渡る、とは?」
「あまのがわ……だったら良かったんだけど、そうでもなくて。」
「……天の、川?」
「とにかく、すっごい雨だから、気を付けて。」
「――――。」


ふたり揃って足を止めたところは、耳成山の、ある山肌である。
疑いもなく千尋がここで止まるということは、彼女はここを抜けて来た、そう考えるのが妥当だろう。


そして恐らく、この結界を解けば、裏側が『すっごい雨』となっている、
彼女の言葉を要約すると、そういうことだろうと柊は構えた。
比良坂は黄泉の狭間。つまり天空には繋がらぬ場所である。


少なくとも、これまでは。


雨が降るなど、柊が知る限り、一度も起こらなかったことだ。
何を夢のようなことを、という気持ち半分、
震え半分で、柊は促されるままに結界を解いた。
すると、そこが比良坂だ。


「ね?」
「ですね。」


果たして、泥の色の雨が、辺り一面を叩いていた。
千尋は手元の傘を開き、柊が腰を屈めて柄を取った。
ふたりで入るには狭すぎる、小さな水色の傘である。


「はやる気持ちを抑えつつ、一旦家に帰って傘を持って来たのはこの為でした。」
「―――天変地異です。」


言った言葉をその傍から、傘を貫かんばかりの雨音が掻き消してゆく。
柊の声は甘く拡散する質で芯が足りない。


「なーにー!?」
「ですからー、てんぺんちいと!」
「………歪めようとしているんだもん、これくらいは仕方ないこと。」
「なんですってー?」
「大丈夫っていう意味!もう少し、走るよ!アレには助走が必要なの!」


纏めた髪が、視界の端でひょこひょこと跳ねている。
きっぱりとした横顔に、迷いは一つも窺えない。


(我が君、あなたは本当に――――)



――――どうしたというのです。



柊の覚えている限り、千尋はこれほど強くなかった。
どちらかといえば慎重で、警戒心のある少女に映っていた。
何が彼女を変えたのか、そして、何故彼女は柊を迎えに来たのか、
合点は決して行かないが。


(迎え、などと。)


何を根拠に、 自分で思って自分で突っ込む。
しかし、そうではないか、と確信めいて、
胸がコツコツ高鳴る。きっと、走っているのとは別の鼓動だ。



風花に紛うた声は、いつか、あなたが呼んだのか?



ふと、吹っ切れる。
だったら、どうなのか。いや、でなかったとしても、どうだと言う。
真実が雨の靄に溶けてしまい、残っているものは、ただ、事実。


肝心なのはいまここに、雨が降っている事実。
沁み入った衣服の中からも、あとからあとから滴る雫で、彼女が引く手首に地図がゆく。
それでも、心が躍っているという、事実だ。


近くなるのは数多の水が束になって、流れてくる轟音だった。
ひどい濁流へ向かって、それを渡らなければ向こうへいけない、だから彼女は助走と言った。
そして、それを、彼女があまのがわと呼ぶのなら



是が非でも、ふたり、渡らねばならない。



知り尽くした地理を額の裏に反芻する。
千尋は確かに速いが、それでも少女の速さである。


(この速さでは到底足りない。)


柊はこころを食いしばり、きりりと足を止める。


「ど、うしたの!」
「申し訳ないのですが、傘は、要りません。」
「―――。」
「そして、許されるなら、私があなたを、導いてゆきたい。」


いつにない声が出た。
こんな声音を使えるのだと、いや、使っているのでないから、こうなる。


「今こそ、約束を叶える時なのかも、知れません。」


柊は、銀の柄を指先から落とす。
その瞬間に、まるでテロのように、頭上を打つ雨である。
千尋の髪は色を濃くし、柊の髪は巻きがのび、まっすぐに肩に降りた。


「約束……?」
「いつかのあなたが立てた指に、いつかの私が決めたのです。」


いつか、守りたいものがあなただけになったとき、その名を必ず、呼びます、と。


けれども、このままではきっと聞こえない。
少しだけ歩を詰めて、それでも足りないぶんだけ腰を屈めて、唇をその耳許へ、小さく小さく触れることを、



この度だけはどうか、嫌がらないで欲しいのです。



「千尋。」


かたく冷えていた耳たぶは、瞬間に、ひどく、熱くなった。


「………っはい!」
「手を。」


柊は既に身を高くして、黒革の手のひらを、まっすぐ千尋に伸ばしていた。
少々痕になるほどに、握らなければいけないことは、あとで謝ることにして
嵐のような濁流を、今はふたりでただただ、越える。



そのことだけを、かんがえる。



「着いて来られますね。」
「私だって負けません。」
「その意気が心強い。」


息を、一つ吸って。
比良坂の、泥水いろの天の川を、全力疾走でめざしてゆく。
神様がするように、きれいな弧を描けなくても、



わたしたちは



必ず、越えてみせる。
あなたとつくる未来に向かって、息を揃えて岩盤を蹴る。




◇◇◇




それから、様々に、ありました。
ふたりっきりで黒龍と戦うことになろうとは、少し想定外でしたが、
もともと伝承に記されぬ、いわば副産物のようなもの、なんて言うと機嫌を損ねてしまいそうですが、
これも、時空を歪めてしまったことの代償と思えば、安いものだったかもしれません。


我が君―――このほうが、口が慣れていることもあり、まだついそう呼んでしまうのですが、
どちらの呼び方でも笑顔を頂けるのは幸せなことです。


戦いを終えて、彼女と戻ったところは王宮でした。


すっかり髪も乾いていましたが、何と言うか、ひどい乱れようで、
那岐や風早には、あらぬ疑いをかけられてしまったようです。
断じて、私に後ろめたいところはありません。


あるのは、この手で守り、あの手に守られたという実感だけ。
本当は、何か大きなちからが働いたのかも知れない。
けれども、本当のことは知る術もないので、この気持ちを信じるより他にない。
とにかく、とてつもない幸福のただ中にいる訳です。


「柊ー、こっち持って!」
「我が君…!」


血相を変えたのも道理、彼女は窓辺に乗り出して、大きな笹を部屋に入れようとしていました。
王宮とは文字のとおり王の御座所、それは宮の最も高みにある。
うっかりと体勢を崩せば、逆さまになって遙か下方で頭を打つでしょう。
―――そんな未来は耐えられない。


気付いた時には、彼女も笹も一緒くたの具合で、後ろから抱き竦めていました。


「……もう、なぁに?」
「なぁにではありません。そのようにご活発では、私の命が縮みます。」
「だって、お願いごとが叶ったから。」


屈託ないのはいい面でもあり、悪い面でもあり。
ひとの性質は表裏一体です。
が、私のいない間に、願いを書いて吊るしたという、上達しかけの文字には感極まるものがある。
こたびはこれより彼女の命に従って、役目を終えた笹を、清流へと返しに行くのです。


「『最終回』、とは?」
「……え、っと、それは……。」
「私にはおっしゃれないことがあるのですね、淋しいことです。」
「抱きしめてくれたら、言ってあげる。」


交換条件にもならないことを、あなたはどれだけ知っているだろうか。
そんなことで、私の願いが叶うなら、幾らでも、飽きるほどあげたい。


「どうぞ。」
「ん。」


広げた腕に、隠すようにして、匂いまでうつるといいと思った。


「映画って知ってる?」
「土蜘蛛の。」


王はひょこんと顔を上げて、しかめ面になって膨れた。
だから、次の台詞はくぐもらず、きれいな声で鼓膜に届く。


「じゃなくて、濁るの、えい『が』。」
「ご期待に沿えず、申し訳ありません。」
「……あのね、とても長いはなしになるの。」
「それでは道々、聞きますか。」


腕の中に飽いたなら、どうかあなたから、そっと胸を離してくださるよう、
小さきこころでひたすら願う。
名残惜しい私は、せめてあなたの手を繋いで、ゆっくり歩いてゆこうと思う。


雨を全て落としたあと、気が遠くなるほどの天高く、あの日。
星の道を渡ったか、或いは、濁流に架かった弧に浮いたのか。
白虎の宝珠があなたに回帰した、そのように、信じたい。
この未来は是か非か、答えは計り知れないが


私は、年に一度を過ぎても、いつもあなたのものでありたい。




− 最終ルネサンス・完 −





夜見の七夕イベント、あれ?柊のどっかに落ちてるんですよね?と信じてかなりさがしたクチです(…)
光の道で手くらいさァ!そこもっと強引に繋いだってさァ!って思ったけど結構、あっさり引き下がっちゃいますよね。
でもなんか駆け引きって感じがしないのです。わりと内心気にしてるんじゃないだろうか。
柊は、甘い台詞ばっかり言ってるんですけども、EDまでは手を繋ぐとか、抱きしめるとか、名前で呼ぶとか、
そういうガチで伝わりそうなことを、絶対してくれないぽいっていう妄想から抜けられません。
そういうのをかたくなに避けてるだろう?そのための口八丁だろう?んん?と思えてなりません。
それを抜けたときに、手のひら返したみたいにして、コロっとかわいいひとに変わればいいよ。

2009.07.07 ロココ千代田 拝