The Key





また気付いてないフリしてるな。


彼女というか。


私はもう、客、としても扱われないのかも知れない。

ピコーンっ!、、、、ドッドッドっ、、、、キラーンっ!



「ねえ。」

「、、、、。」



新しいの買うといつもこうなんだから。
 


「将臣くん。」

「、、、、。」



あ。戦闘入った。予想外って顔してる。なんかかわいい。



「それなに?」

「ヴァルキリープロファイルシルメリア。」

「知らない。」

「知らなくていー。」



言葉少なな将臣くんなんて、多分私しか知らないのよね。

それはそれでいい感じ。

あれ、何か私思う壷入ってない?

ダメ!こういうの、世間ではマンネリ、とか、慣れあい、とか言うのよ。

前は毎日してたのに。

この状況はダメ!



「ねえ。」

「あー。」

「したい。」

「、、、ああ?」

「だからしたい。」

「今無理。」

「今したい。」

「、、、今、、、っクソっ、、それ反則だろーよっ!、、、今勃たねー。」



なかなか砦は堅いわ。、、、しかたない。



「ちょっと、ごめん。」



画面の邪魔にならないように、フローリングを這って、将臣くんのあぐらの中へ。

コントローラーを握る手を、右手でちょ、っと押し上げてやる。

そして左手で、ベルトを緩める。今日のジーンズはジッパーか。

ジ、ジ、ジ、、、、。

「降ろすな。」

とか言ってる割に、お尻を浮かせて脱がせやすくしてるくせにこの男は。

そんでもって、勃たないなんて言った尻からこの男は。



「嘘じゃん。」

「あー。」



目の前のソレが、ぴくんとする。面白いかも。



「どーしよっかなー。」

「、、、あ?」

あ、焦ってる?何かやられた音っぽい、今の。

「やっぱ邪魔しちゃ悪いからしまうね。」

「、、、、なぁ、、やって。」



目線は画面に釘付けのままってのがひっかかるけど。

でも、、コレを前にして、私もそろそろ平気じゃないのよね。

だから、私は、そこに、深く顔を埋めた。



「、、、、あー、、、それいい、、、裏も。」

「、、はいシルメリア集中、、、っん、、。」

「あー、、また落ちた、、、、って、、、、すげ、、、そんななぞんなって、、、やべ、出そう。」

「しゅーちゅー。」

「、、、クソっ、、、」



覚えてろ、って言った。何か嬉しかった。

だけど知らんフリして続けてたら、私の携帯が鳴った。

無視してたんだけど、何故か出ろって、煩い。

しかも、面白そうに。



「もしもし。」



って出た瞬間、首の後ろがぞくり、とした。

電話の声じゃない声が、うなじから熱い吐息に混じって聞こえた。



「タイミング最高じゃねぇか?」



言葉を失う。電話の向こうで、何か言われてるんだけど、生返事しか出せなくて。

ドキドキなんてもんじゃない。

『、、、ぞみ、、?何か変よ、具合でも悪いの?』

「あ、、、別にそうでも、、、ぃやんっ、、、」

『、、、え、、ホントどうしたの?大丈夫?』

「どしたぁ?今したいんだよなぁ?」

「大丈夫、ちがっっ、、、あ、えーとそうじゃなくって、、、っっ」

這ったままの姿勢だったから、後ろから、簡単に下着を降ろされて。

将臣くんの濡れた先が、容易に私の中に入ってくる。

「あ、、、ん、、、、。」

これはどう聞いてもヤバかったと思うけど、でも、どうしたらいいというのだろう。

何とか分岐を保とうとしていた思考回路は完全に混ざりあった。

息が荒くなるのを、懸命にこらえているのに、また、うなじから声をかけてくる。

「集中。、、、だろ?」

「や、、、無理、、だよ、、。」

『まあ、ホントに具合悪かったのね、ごめんなさい、わたし、、、』

将臣くんの腰使いが、全然いつもと違うんだもん。

すごくゆっくりで、エッチで、色んなところに触れてくる。

「や、、、っこは、、、ダメ、、、。」

『望美?』

「すげー可愛い。」

『、、、将臣くん?そこいるの?』

「いないいないっ、、、っ、、、ぁ、、、っ、、、おみくんっ、、、」

『あら、ごめんなさいね、じゃましちゃったかしら』



ああ、、、、もうダメ。オトナだもん、完全にバレる。朔ホントごめん。


自業自得、なのだろうか。


そんなに感じた事無いくらい、それは良くって。


もう、そのあとなんて言ったとか、どう耐えたとか、ぐちゃぐちゃでよくわからない。


ただ、最後まで将臣くんが止めてくれなかった、ってことだけ。


意外にも電話は切られる事無く、何となく記憶の果てに、

朔の声で、またあしたね、と言われたような記憶がある。

この後ろめたさが、杞憂であって欲しいと、覚醒しつつ願うだけ。



「感じ過ぎ。」

「最悪、、、、。」

「そうでもねーだろ?、、、、これ、またやろぉぜ。」



マンネリなど、どこ吹く風と成り果てた、という点では大成功であった。


だが、将臣くんは、確実に、いらぬ知恵をつけた。


私の作戦は完全に失敗だった。